この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第5章 不安
(それでも不満は少ないと俺は思うけどね)
俺のところは男4人兄弟で、ルール以前に場所や食事のケンカなど日常な家で育った。だからなのか? 一定の配慮があるこの同居生活に、あまり違和感が無いのは。
「うっわ! このステーキ旨ーい!」
「……本当。口の中で溶けてしまう。こんな美味しいのは、私も初めて」
「気に入ってくれた? 今日の目玉だよ」
「でも高そうだよ?」
「そうですね。蓮さん、私たちが出している食費で足りているんですか? 毎日のメニューを考えると、とても足りているとは思えないんです」
「足りてはいるよ。それはまぁ、フードコーディネーターの伝を使って食費は安く上げているけどね」
「やっぱり食べ物関係は強いなぁ」
「……ですね、陸さん」
なんとか納得してくれた。こと細かく言えば二人共萎縮してしまう、そんな思いから言及は避けただけ、こうとも言う。
◇
夕食も終わり、千弥が先に食事にしたから、ゆっくりとバスを使いたいと部屋に戻って行った後、俺は少し考え空き部屋で陸と話すことに決めた。ここならば千弥の邪魔は入らない、そもそも使われていない部屋に俺たちが居るわけがないと見せかける。……やはり良いことでは無いが。
「で? 千弥はどこに行っていたんだい?」
「……病院……」
「……病院?」
陸の口から出た意外な答えに、俺は不自然感を抱く。
病院に行く理由は? まさか昨日の生出しが原因で病院に行ったのだろうか?