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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第6章 千弥と陸
店の気づかいなのか、テーブルの横に置いてある雑誌を取り、見ながらパンケーキを待とうと思う。
たまになんだから、カロリーを気にするのは止めようよ? 楽しみに待ちながらも、雑誌に目を通す。ジャンル的には興味がないホスト系の特集、人気高い人はテレビにも出ているし、水商売という雰囲気も薄くはなって来ている。ただ私的には好きでないだけの話。
そんな雑誌をチラ見していた時、あるページで私の手は止まってしまった。
(……う、うそ……)
それは何気ない広告。ホストでも一部ではディナーショーとかもやるらしく、そのショーの広告だったんだけど、内容より人に私の顔は凍り付く。
(まさか、まさか! 都会に出て来ていたなんて!!)
その顔は私の恐れの対象。
本物は恐怖で足がすくむくらい怖い。
私が、私がこうなった原因を作った奴、それが田舎から出ていたなんて私は知らなかった。
髪型や顔は少し変わっているけれど、私が間違えるはずがない。
私を拘束し好きにした男、私をこんな身体に堕とした男、私を滅茶苦茶にした男。それがこの雑誌に乗っているホスト。
(だ、ただだ大丈夫、これはただの雑誌。それに私には近づけない、近づけば警察に捕まるから)
動揺する私の心、込み上げるあの頃の思い出。必死に冷静になろうと頑張っているよ、だけど顔を見ただけで私はこうなってしまう。
ホストになっているなんて知らなかった、都会に出て来ているなんて誰も教えてくれなかった。
震える手でこのページの写メを取り、私は封印するかのごとく雑誌を閉じてしまう。