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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第6章 千弥と陸
「…………本当は、蓮が千弥を抱いたと知って、ちょっとだけ嫉妬した。でもそれ以上に、あの千弥の声に欲情した僕、あの後何回自分を諌めたかな? そして今も……約束だから必死に我慢してる、千弥の信用を失いたくないから」
横を向きながら、ぽつぽつと話す陸さんの姿。……そうだよね、こうして一緒に風呂に入っているのに、なにも思わないほうがおかしい。そのことに気づかない私って……。
「……ごめんなさい、私が我が儘を言ったせいで」
「違う違う、千弥は悪くない、一緒に入ると言ったのは僕のほうだって!」
「私が落ち込んでいたから、陸さんは言ってくれた。それは分かってるよ」
「千弥を一人にしたくなかったんだ」
「…………陸さん」
「…………千弥?」
私のほうから横を向く蓮さんの頬を撫でてみた。
なんとなく触れたくなったの……蓮さんに直接触れたいと。
「千弥、それ僕のほうが堪らなくなる」
「……え?」
「触れたくて触れたくて堪らないのを我慢しているんだよ、分からない千弥?」
「…………あっ」
こちらを向いたと思ったら、あっという間に私は陸さんの胸の中に納まっていた。
「ずっとこうしていたよね? 千弥を抱き締めているのが気持ち良い」
「あれは……私……」
「聞かないよ。千弥が話してくれるまで待つ、僕はそう決めたんだ。だから無理しないで……千弥」
「あり……がとう」
優しい優しい陸さんの言葉。蓮さんとはまた違う陸さんの性格。陸さんは私を安心させてくれるほう、いつもの言葉で私を包み込んでくれる、無理をしなくても良いと言ってくれる。そうしてこう抱き締めてくれる。