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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第6章 千弥と陸
ニコニコと指差す陸さんに敵わなく、私は言われた場所に座った。ラグが敷いてありフワフワな座り心地、そして後ろから陸さんの手が伸びて来る。
「はい、コントローラー持って」
「これで……こうだったかな?」
「そうそう。陣取りゲームだから、走り回って陣地を広げるだけ、簡単でしょう?」
「それくらいだったら出来ると思う」
「後方支援は任せて」
私にコントローラーを握らせた後、陸さんも別のコントローラーを持ってゲームはスタート。
(ち、ちょっと、走るだけだけど、難しくない?)
滑る、落ちる、敵に殺られる、そこまでは聞いてないよ! 散々初期位置に戻され1回戦終了。ゲームなんて子供の頃以来な私には難易度が高い。
「千弥、ジャンプしないと落ちるよ」
「ジャンプってどこ?」
「このボタン」
また手が伸びて来て、私の手に重ねるように教えてくれる陸さん。それに胡座を掻いている膝や股、腕なんかも当たり、本当に抱き締められている気分になりそう。
普通のカレカノって、こんなことをしているの? ゲームなのにこんなに密着し、仲良くプレイするのかな?
「もう1回」
「うん」
この手のゲームって、回数を重ねていると操作性を覚えて楽しくなって来る。
そんな私も、初めてプレイするゲームなのに数回目にはすっかり夢中。
陸さんが言ったよね、夢中になっていれば……って。確かにこうしていれば、嫌なことなんて思い出さない、楽しくプレイするのが良い。こういう息抜きもあるんだね、教えてくれる陸さんに感謝しなきゃ。