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一秒に見えた世界
第14章 俺が一番
私のその答えに優誠はなんだかがっくりとした。

なんなんだろ?

と私は思う。

『優誠はなんかあるの?』

と私は聞いてみるけれど優誠は普通に

『気を付けて行けよ。後、呑みに行くのならその時間には俺も帰れるから家には送ってやるよ。』

とだけ言った。私はちょっとだけ優誠が気にはなるけれども

まぁ、いいか…、どうせ優誠は私の誕生日は知らないのだし優誠は木曜日は仕事だし、それに私もやっぱり優誠の誕生日を知らないのだから私からわざわざ言う必要はないよね?

といつもの適当で自分の誕生日の事は優誠には言えないまま、そして結局は優誠の誕生日を私は聞きそこねたままだった。

夕食が終わったら優誠は私を家まで送ってくれた。今日は珍しく優誠の方が寂しそうに私にキスをしてから

『またな。』

と言って帰って行った。

次の日は私は少し早起きをして必死に首筋のマーキングを隠せる方法を考えていた。昨日よりかはさすがに色は薄くなってはいたけれどこれで学校に行くのはかなり恥ずかしい。

私は薄いピンクのハイネックのノンスリーブシャツに茶系のフレアのロングスカートにした。後はピンクのストールを羽織る。

まだ残暑はキツいけれど一応はファッションで秋っぽく見せて優誠のマーキングを隠した。よく見たら私の腕の内側にもしっかりと優誠のマーキングがしてあった。

私はため息をついて家を出た。学校のお昼休みには学食で里美が私のシャツのハイネックの首周りを引っ張って

『どれどれ?』

と言って面白がる。

『ギャー!?止めてよ。これってかなり恥ずかしいんだからね。』

と言いながら私は里美から逃げ続ける。空はクスクスと笑って

『優誠さんって露骨なのが好きだよね?』

とか聞いて来る。私はさすがに優誠の暴力団の家族の事は言えなかったけれど空達には

『優誠って他人の中でずっと見られ続けて育ったらしいから俺のものって意思表示が凄いみたい。』

と私は答えた。里美は

『他人が家にずっといるの?』

と不思議がる。私が

『そうみたい。色々な人が優誠の家にいっぱい住んでいたみたいだから自分のプライバシーとかを隠すのとかは無駄らしいよ。』

と言うと里美は

『そんな人…、確かに美奈みたいな適当主義の女にしか付き合えないわ。』

と納得する。
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