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一秒に見えた世界
第2章 今日からお兄さん好みになります?
今の私はきっと全身で300万以上は身につけているはずとか私は頭で適当な計算しか出来ない電卓を弾き考えてしまう。しかも、バッグや財布、キーケースに携帯ケースまでもが同じブランドで統一されていく。

まるで私はこのお店専属のCM係にでもなった気分だ。

この段階でさすがにお腹が空いたとか私が思っていたら、またしても私を待っていたのは不機嫌なお兄さんとのレクサスでの移動だ。

そして今度は高級美容室…。

約1時間をかけて私の髪型はシンプルなロングヘアーからウェーブを付けた大人びたものに変えられ顔はプロの手によって綺麗にメイクが施されその美容室の鏡の前には今朝の私とは全く別人の女が映っていた。

そしてまた移動をするレクサスの中ではお兄さんが

『なんとか、ぎりぎりのところだな。』

と私に言って来た。その瞬間

ギュルルルル…

と見事に私のお腹が鳴ってしまった。だって当然よ。もう時刻は景色が夕日になるという時間帯。突然、お兄さんに拐われた私は朝から何も食べていない。

なのに、そんな私を呆れたように怖いお兄さんがジッと見ていた。

ただ黙って情けないものを見たかのように私をジッと見ているお兄さん。ここで適当主義な私は完全に開き直ってお兄さんからそっぽを向いた。

だけど…

『だからモタモタすんなって言ったんだ。後15分で着くから我慢しろ。』

とお兄さんが私に言う。

モタモタって…、私はなんにもわからずに1日お兄さんに振り回されているだけなんですけど…

と言いたかったけれど今の私はもうお腹が空きすぎて言葉も出ない状況だ。

そうやって私が黙っていたら今度は海辺の凄いホテルの最上階にあるレストランに私はお兄さんに連れて行かれた。

ステーキハウスと看板に書かれたお店。普通のカウンター席がお店に入ってすぐの右側にあり、いくつかのテーブル席の向こうの左の奥の方には鉄板を囲むようなカウンター席があるお店。

そんなお店でお兄さんは慣れた様子で一番奥のカウンター席へと向かった。だから私は慌ててお兄さんを追いかける。

『そうやって、自分でついて来い。』

と初めて笑顔を見せたお兄さんが私にそう言った。
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