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一秒に見えた世界
第19章 だって…忙しいんだもん
ぼんやりとしながら私の意識が戻り始めると優誠が私の髪を撫でていた。ただ優しいだけになった優誠が

『どっか行きたいとこはあるか?』

と聞いてくれるけれど私はまだ身体がだるくて

『優誠の腕の中がいい。』

と答えた。優誠は少し笑って

『適当娘が…。』

と言って私にキスをする。せっかくの海外旅行、でも観光も買い物も適当に済ませちゃったら私にはどうでもいい事だ。どうせ今から出掛けても散々優誠に抱かれてイカされた私は疲れるだけだからと優誠と2人でベッドでゴロゴロとしている方が幸せだった。

翌日は日本に帰る飛行機に乗った。私は今回は優誠に抱っこは認めてもエッチは堅く禁止する。私の禁止にむくれている優誠に私は

『もし、えっちな事をしたら飛行機の窓からこの指輪を捨てるからね。』

と言って脅してみた。優誠は笑いながら

『飛行機の窓は開かねぇよ。出来もしねぇ事を適当に言うな。』

と言った。それでも一応、帰りの飛行機では優誠は私に従って大人しくしてくれた。空港からは私はそのまま直接家まで送ってもらった。

私が家に帰るとママが居た。

『どこに行ってたの?』

『シンガポール、これ優誠からママの分のお土産。』

と私はママに優誠が買ったお土産を渡した。ママはもう私と優誠の事を文句言うのは諦めたような微妙な笑顔で

『優誠さんにはお礼を言っておいて。』

と私に言った。それからママには指輪の事も聞かれた。

『指輪で男がいますって証明らしいよ。』

私がそう説明すると

『あんたみたいな適当娘だと首輪を付けたくなるのわかるわ。』

とママが優誠に同情をするように言って来た。優誠には同情をしているくせにやっぱりママだからピルの飲み忘れは気を付けなさいと私に厳しく言い聞かせる。

何故かはわからないけれど私の避妊をママはちゃんと知っていた。

産婦人科の医師であるママは中絶で泣く患者さんをいっぱい知っている。だから避妊にだけは私にうるさく言うママだ。

『優誠さんなら大丈夫だとは思うけれどケジメだけはつけなさい。』

ママはそれだけを私に言った。
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