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第10章 他の人は絶対にやだ

私の耳に響くその声に私がゆっくりと目を開けると私の目の前にはコーチの腕を高く持ち上げるように掴んだ優誠が居た。

『優誠！？』

私はプチパニックになった。だって優誠が今までに見た事がないくらいに怖い顔で立っていた。

コーチが優誠から自分の腕を振り払い

『指導中を邪魔しないで下さい。』

と優誠に言い出した。私が見ると佐伯さんと結城さんが優誠の後ろに立っていた。この場にバタバタと打ちっぱなしのオーナーさんが走って来た。

私は子供みたいに優誠にしがみついて泣いた。コーチはオーナーさんに指導をしていただけだと言い訳をし始めた。だけど佐伯さんがオーナーさんに

『ここのカメラの監視映像を下さい。後は警察に任せますから。』

と言ったらオーナーさんがコーチはクビにするから待ってくれと言った。コーチは逆に居直ってこんなところ辞めてやると叫ぶと出て行った。

私はただ泣くしか出来なかった。優誠はずっと怖い顔で黙っていた。それから後はオーナーさんに

『条件として女性コーチ以外は付けるなと言ってあったはずだ。』

と優誠が不機嫌に言った。オーナーさんはとにかく優誠に平謝りしていた。私は着替えてから優誠に車に押し込まれた。

だから運転手は佐伯さんだった。優誠が佐伯さんに

『結城だけじゃ無理か？』

って聞いたら佐伯さんが

『九州から大久保を呼んで結城と付けます。』

と答えた。私には何の話しかがさっぱりわからなかった。

そのまま優誠のマンションに戻ったけれど優誠はずっと怖い顔のままだった。私はエレベーターで

『ごめんなさい…。』

とは言ったけれど優誠はずっと黙っていて不機嫌なままだ。部屋に入るなり私は優誠にお風呂場に連れて行かれた。優誠がぶっきらぼうに

『さっさと脱げ。』

って私に言った。私はとにかく怖かったから慌てて服を脱いだ。優誠はそのまま私とお風呂に入るなりいきなり私を洗い始めた。

『にゃ！？ちょっと！？自分で洗うから！！』

私がそう言っても優誠は不機嫌なまま

『ダメだ。』

としか言わない。私は優誠に容赦なく泡立つスポンジでガシガシと洗われ続けた。