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この香りで……。
第27章 エピローグ
半年後のある朝、奈々葉が手洗いで叫んだ。
「きゃあ、部長、部長お……」
「奈々葉、朝早く何だよ……ったく……」
里井が目を擦りながら手洗いのドアを開く。髪は寝癖のままだ。
「ほら、検査薬。妊娠の検査薬の窓に……」
里井が細長いスティックを覗き込んだ。指先ほどの丸窓に赤い縦線が滲むように浮いていた。
「陽性だって……。つまり妊娠の可能性があるって……。生理《アレ》がなかなか来ないから、調べたら」
「俺たちの子どもか。やったあ」