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この香りで……。
第6章 忘れてる?
奈々葉は自分のデスクでスマートフォンの自撮り機能でボンヤリと自分の唇を見ていた。
ふっくらとした唇に里井のざらついた唇の感触が残っている。
自分の唇を指で撫でる。
「わっ!」
パチンという音が奈々葉の耳元で弾ける。
「な、何よ?」
目の前で美希の子犬のような目が覗き込んでいた。
「奈々葉……」
美希が自分の腕時計を指差す。
――もう、お昼。
「どうしたの? 奈々葉、恋する乙女みたいな顔してる」
「恋する……何それ?」
――やっぱ、美希は鋭い……。
「ボンヤリ自分の顔見てたり、って思えば、ニッコリ笑ったり、今だって……」
「今も?」
「奈々葉、目、ウルウルしてるし……」
ふっくらとした唇に里井のざらついた唇の感触が残っている。
自分の唇を指で撫でる。
「わっ!」
パチンという音が奈々葉の耳元で弾ける。
「な、何よ?」
目の前で美希の子犬のような目が覗き込んでいた。
「奈々葉……」
美希が自分の腕時計を指差す。
――もう、お昼。
「どうしたの? 奈々葉、恋する乙女みたいな顔してる」
「恋する……何それ?」
――やっぱ、美希は鋭い……。
「ボンヤリ自分の顔見てたり、って思えば、ニッコリ笑ったり、今だって……」
「今も?」
「奈々葉、目、ウルウルしてるし……」