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この香りで……。
第7章 コイバナ

 二人は社の展望デッキで食事をすることにした。展望デッキというのは聞こえがいいが、昼食の時だけ社員に開放される最上階の部屋で、通常は資料室として使われている部屋だ。

 奈々葉たちは入り口から遠い南側の窓際に座る。

 昨夜の出来事を美希に全て話した。

「えっ、う、ウソ……ちゅ、チュウ……?!」

 弁当を食べる美希の箸が止まる。

 奈々葉は目だけで辺りを見渡して、人差し指を自分の唇に当てる。顔を縦に振りながら……。

「……ホント……なの……」

「……で、部長は……?」

「…………忘れてるみたい……完全に……それに私……」

 ――主人がいるし……。
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