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この香りで……。
第9章 呼んでる。
――美希のヤツ……。
「ご、ごめんなさい……確認してきます」
奈々葉は頭を下げ、後ろに下がった。そして、踵を返す。
「ああ……、いや、コーヒー飲みたいな。お前……宮崎の……。いや、時間があるときでいいからさ……」
――えっ?
「コ、コーヒー……あれ……やすーいインスタントですけど……」
インスタントコーヒーの淹れ方は、学生時代にどこかで受講した時に習ったものだ。
「やすーいのでいいんだ。お前の作ったコーヒーが飲みたい……」
里井が無表情な目を細める。
「はいっ、少しだけ待ってくださいね」
心臓が飛び出しそうだった。いや、心臓がパンクしてしまいそう。
――きゃあ、やったあ!