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この香りで……。
第11章 コーヒーの苦味
「にっ…………があーい」
「ウソお!」
里井も奈々葉のカップを手にとって、一口啜る。
「熱っち……にっ……があ……」
「だ、大丈夫ですか、部長?」
里井の目を見る。
里井も奈々葉の目を見ている。
「ああ……」
「……えっ……と……」
――身体が震えて、言葉がでないよ。
チュ……。
――ああ……。
コーヒーの香り。
奈々葉が里井のざらついた唇に重ねたのだ。
里井の動きが止まる。
――ああ、私……。
奈々葉の中の時間が止まっていた。
「やっぱ、空気読めねえヤツ……お前って……」
――えっ……?
里井の冷たい両手が奈々葉の頬を引き寄せる。
奈々葉は目を閉じた。
唇が覆われる。ざらついた唇に……。
「あん……はむっ……」
トロっとした生温かいモノが唇に割り入ってくる。やがて、それが苦いコーヒーの匂いと味を奈々葉に送り込み始めた。
「ウソお!」
里井も奈々葉のカップを手にとって、一口啜る。
「熱っち……にっ……があ……」
「だ、大丈夫ですか、部長?」
里井の目を見る。
里井も奈々葉の目を見ている。
「ああ……」
「……えっ……と……」
――身体が震えて、言葉がでないよ。
チュ……。
――ああ……。
コーヒーの香り。
奈々葉が里井のざらついた唇に重ねたのだ。
里井の動きが止まる。
――ああ、私……。
奈々葉の中の時間が止まっていた。
「やっぱ、空気読めねえヤツ……お前って……」
――えっ……?
里井の冷たい両手が奈々葉の頬を引き寄せる。
奈々葉は目を閉じた。
唇が覆われる。ざらついた唇に……。
「あん……はむっ……」
トロっとした生温かいモノが唇に割り入ってくる。やがて、それが苦いコーヒーの匂いと味を奈々葉に送り込み始めた。