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この香りで……。
第11章 コーヒーの苦味
「うっーす……」

「部長……」

「もう、こんな時間に開いてるんだ、ウチの会社……。そういやあ、こんな時間に出てくるなんて、新人の時以来だべ」

「……ですね? 私も知らなかった」

 奈々葉はコーヒーカップを手にとって、一口啜った。

「コーヒーはリラックス効果があるんだとよ」

 コーヒーの香りと苦みが奈々葉の口に広がった。
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