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この香りで……。
第14章 オイルマッサージ
 奈々葉は、彼が言うとおりベッドに仰向けになった。両方の手のひらと腕で胸の膨らみを覆う。

「失礼します……」とまぶたの上にタオルが掛かり、手首を取られ、ゆっくりと腕が降ろされるのが分かる。胸も何かに覆われる。

 再び、粘りを捏ね始める音が広がる。クチュクチュと……。

 朝の手洗いでの悪戯と里井との唾液が混じる音がシンクロするようで身体が熱い。

 鎖骨の辺りが温かくなる。

「ああ……んっ」

 オイルが伸ばされて塗されるのが分かる。首筋に電流が走った。里井の舌と唇がそこを滑るのを妄想する。
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