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この香りで……。
第2章 居酒屋
「いいよ……おれ、じぶんで……かえれますから……」
里井をタクシーに乗せる。奈々葉も一緒に乗り込んだ。
タクシーがマンションの前に止まった。奈々葉はマンションを見上る。
――部長にもなると凄い!
◇◇
里井の部屋は十七階にあった。奈々葉は里井のスーツの内ポケットを探って部屋の鍵を取る。
玄関のドアを開けた。
里井の肩を抱くようにして部屋の中に入る。
――きゃ、汚い。でも、ウワサは本当だったんだ。
ビールの空き缶やコンビニ袋が散乱し、一杯になったゴミ袋が廊下に沿って並べてある。「男やもめにウジが湧く」ということわざが奈々葉の頭をよぎった。