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この香りで……。
第21章 シンデレラ
「たっ!」
左の足の裏に痛みが走った。生温かい何かがそこを濡らすのが分かった。
いつの間にか陽が落ちていた。
「あ……」
――私……靴、履いてない。
自分の足元に目をやる。
ドロリとした鮮血が奈々葉の素足の足裏の形にプリントされている。
――どうしよう……。
辺りが滲んでよく見えない。高速道路の高架下にある公園の植え込みにしゃがみ込む。寒くもないのにガチガチと身体が震えた。
「お姉ちゃん……大丈夫? お巡りさん……?」と通りかかった丸眼鏡の老婦人が奈々葉に声を掛けながら歩み寄る。
「……いえ……、私……大丈夫です。ありがとう」
「そう……じゃあ、お気をつけて。お姉ちゃん……」
婦人の柔らかい手が奈々葉の手を握り、背をポンポンと優しく叩いた。
「…………はい…………ありが……とう……ござい……ます」と言おうとするが、奈々葉の手の甲に滴が落ちる。
「まあまあ……はい、はい……何があったのか分からないけど、悲しい時は泣けば泣けばいいの。風船でも空気、入れ続けると割れちゃうじゃない? パンって……」と婦人の手のひらが奈々葉の背を擦る。
左の足の裏に痛みが走った。生温かい何かがそこを濡らすのが分かった。
いつの間にか陽が落ちていた。
「あ……」
――私……靴、履いてない。
自分の足元に目をやる。
ドロリとした鮮血が奈々葉の素足の足裏の形にプリントされている。
――どうしよう……。
辺りが滲んでよく見えない。高速道路の高架下にある公園の植え込みにしゃがみ込む。寒くもないのにガチガチと身体が震えた。
「お姉ちゃん……大丈夫? お巡りさん……?」と通りかかった丸眼鏡の老婦人が奈々葉に声を掛けながら歩み寄る。
「……いえ……、私……大丈夫です。ありがとう」
「そう……じゃあ、お気をつけて。お姉ちゃん……」
婦人の柔らかい手が奈々葉の手を握り、背をポンポンと優しく叩いた。
「…………はい…………ありが……とう……ござい……ます」と言おうとするが、奈々葉の手の甲に滴が落ちる。
「まあまあ……はい、はい……何があったのか分からないけど、悲しい時は泣けば泣けばいいの。風船でも空気、入れ続けると割れちゃうじゃない? パンって……」と婦人の手のひらが奈々葉の背を擦る。