この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一夜だけの恋人 〜妹の姫初め
第3章 恋人になって
俺たちは、また歩き始めた。
雪が降るのだろうか。山から吹き下ろす風が冷たい風が街路樹の枝を揺らしている。
俺はコートの襟を立て、夏芽の身体を引き寄せる。
「何だか、お兄ちゃんとデートしてるみたいね」
「……しよ……デート? 夏芽……今晩だけ恋人になって……」
大通りから路地に入る。
あん、と言う女の子のため息のような声が自販機の向こうから聞こえてきた。少しドキリとした。だけど、地面に置いてあった『○○高等学校』と書かれたスクールバッグを見てまたドキリと胸が鳴った。
「ちっ……近頃の学生はよ……」と、ぽろりとボヤいてしまった。
「お兄ちゃん、それオジさん……」
夏芽が自分の口を手のひらで抑えて笑った。吹き出すのを堪えるように……。