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永遠に見えた世界
第2章 こいつ、ありえねぇ
ちょっと待て、こいつまだ未成年かよ?後ひと月ちょっとで二十歳だが、未成年が酔っ払うまで呑むなよ。

俺は少し美奈に呆れた。

『こら、住所のわかるやつを渡せ。』

俺は美奈に言う。美奈は

『ここを真っ直ぐ適当に走ったらうちに着くよ。』

と適当に言いやがる。俺は迷っていた。明日は俺はまだ仕事だというのに今夜は適当しか言わない酔っ払い女が俺の腕の中にいる。

『結城、部屋に帰るぞ。』

そう言う俺に結城が驚いた顔をした。俺は自分の部屋に女は入れない。だけどこんな美奈をホテルとかに放ったらかしたら変な男に持っていかれるような気がした。

美奈は

『ふにゃぁ。』

と気持ち良さげに俺にもたれたままだ。

襲うぞ!!こら!

美奈の無邪気で綺麗な顔を見てるとそのつもりはなくともそう言いたくなる。

だから俺は美奈を手放せないまま俺の部屋まで美奈を抱えて行った。

短大の2年か…、就職の内定が決まってない子は焦る時期だな。

とりあえずリビングのソファーに美奈を抱えたまま座ってから俺は酔っ払った美奈がちゃんと聞いているのか聞いていないのかわからないけど聞いてみた。

『そんなに就職がしたいのか?』

美奈は突然泣きそうな顔で

『だって就職しないと短大から後の未来は誰も私に教えてくれなかったんだもん。』

とか言い出した。

誰も教えてくれないと自分の人生を迷子になるって今まで一体どんな生き方して来たんだよ?

俺は俺の人生は自分で決めたい人間だ。

『自分の未来は自分で掴めよ。』

『じゃあ、お兄さんが私の未来になってよ。お兄さんの会社になら私、永久就職するから。』

美奈がそう言って俺の首に手を回して来た。

潤んだ目で真っ直ぐに俺だけを見ている美奈。

だけど…

こいつも結局は俺の会社目当てに股を開く女かよ。だったらヒーヒーと言わせて後は捨てるだけだ。

そう思った俺に美奈は

『お兄さん名前は?』

と聞いて来る。俺は

『御剣 優誠、剣菱建設の社長だ。』

と答えてやる。

俺がそう言うだけで勝手に女は寄って来る。どうせこの子も同じだ。せっかく綺麗な顔してるのにな。

俺は少し残念だった。だけど俺に顔を寄せて来た美奈は俺の下唇にほんの少し触れるか触れないかの微かなキスしかしなかった。
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