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永遠に見えた世界
第1章 クソ親父
講堂までの道の両サイドは満開の桜並木。俺は桜は結構好きな花だ。水原の親父の周りには背中に桜の花びらを彫ってる奴が何人かいる。

だから俺が生まれてから一番初めに覚えた花は間違いなく桜だ。

こんな風に桜をのんびりと眺めるのは何年ぶりか?

そんな事を考える俺の横を3人の学生がバタバタと走り抜けた。1人は如何にもミーハーな今風のファッションの女。そいつが

『美奈を待つと毎回、遅刻決定だよ。』

と叫んだ。もう1人は随分と落ち着いた佐伯好みの美人だ。キツい顔だが芯はしっかりしているタイプ。そして残るもう1人。俺はその子を見て呆気に取られた。

なんと3人目の女は遅刻だと言って走っていたくせに急に立ち止まるとゆっくりと顔を桜に向けてから、まるで桜の花を触ろうとするようにその子は桜の木に向かって手を伸ばし始めたのだ。

透けるような白い肌、ふわふわと風になびいた髪、綺麗に整った鼻の上に二重まぶたの大きな目、身長はかなり小さいのだが痩せている割にはプロポーションは悪くない。

そして彼女が桜に何かを言うように艶やかな唇をそっと開いた。

綺麗だった。ただ満開に咲く桜のピンク色の景色の中でその小さな女がとても綺麗だった。

だがそんな景色は一瞬だ。

急な突風が発生し彼女に向かって大量の桜の花吹雪を叩きつけた。

『わぷっ。』

彼女が目を閉じて固まった。俺には彼女がその風にさらわれるように見えてしまった。だから無意識に俺は彼女の前に立った。

俺が風を遮って風がなくなると不思議そうな顔で彼女はゆっくりと目を開いて俺を見た。

遅刻だというのに全く慌てる素振りもなく彼女はきょとんとして俺を見ている。俺はほとんど無意識に彼女の髪についた桜の花びらを取り

『綺麗だな。』

と言ってしまった。本当は綺麗だなお前と言いかけた。だけど、それは俺はやばいとか思った。

これじゃまるで俺は変なナンパ男になっちまう。

なのに彼女はまるで俺の言葉なんか気にしていないように、いきなり俺に笑顔を向けて

『お兄さんもかっこいいよ。』

とか言いやがった。彼女は無邪気だけどとても綺麗な笑顔だった。

なんだ?このノリは?

俺がそう思った時にはミーハー女が

『美奈、早く行くよ。』

と言って彼女を急かした。
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