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秘密のピアノレッスン
第14章 年明けのレッスン

先生の車で送ってもらい、家に着いても当然のように誰もいない。
もう、私のクリスマスは終わったのだ。
暗い部屋の灯りをつけて、テレビを見たり、ピアノを弾いたりして過ごし、母が帰ってきたのは21時ごろだった。
夕方に帰ると言っていたのに……。
「あなたにおみやげよ。チキンと、サラダとケーキ。食べなさい」
母はすこぶる上機嫌で、きつい香水とお酒の匂いもした。
「おばあちゃまお元気でいらした?」
と、髪を纏めていたバレッタを外す母。
「私が来たことをすごく喜んで下さって、ピアノも弾いたの。ミルクティーを一緒に飲んで、朝は……」
「あらそう。じゃああなた、この家出て行っておばあちゃまの家で面倒見てもらったらいいのに?」
本気なのかどうかわからない母の言葉に胸が痛み、言葉が出なかった。
「お風呂入るわね。それ食べたら自分の部屋に行きなさい」
「はい……」
しゃくるようにチキンに顎を向け、バスルームに消える。
今日の母は、怖い……。
味のしないチキンとケーキを口に頬り込み、母にわからないようにサラダを捨てた。
食べたく……ない。
自分の部屋に戻って、深呼吸をして白い携帯を見つめる。
覚えたてのメールを打って、先生に送信した。
“奏馬さん、大好きです。”
先生じゃなくて、そうま、さん……。
間を置かずすぐに返信は来た。
“俺も好きだよ。敬語やめるんじゃなかったの?”
きゅううっ……と胸が締め付けられる。
先生。先生。
先生が、大好き。
もう、私のクリスマスは終わったのだ。
暗い部屋の灯りをつけて、テレビを見たり、ピアノを弾いたりして過ごし、母が帰ってきたのは21時ごろだった。
夕方に帰ると言っていたのに……。
「あなたにおみやげよ。チキンと、サラダとケーキ。食べなさい」
母はすこぶる上機嫌で、きつい香水とお酒の匂いもした。
「おばあちゃまお元気でいらした?」
と、髪を纏めていたバレッタを外す母。
「私が来たことをすごく喜んで下さって、ピアノも弾いたの。ミルクティーを一緒に飲んで、朝は……」
「あらそう。じゃああなた、この家出て行っておばあちゃまの家で面倒見てもらったらいいのに?」
本気なのかどうかわからない母の言葉に胸が痛み、言葉が出なかった。
「お風呂入るわね。それ食べたら自分の部屋に行きなさい」
「はい……」
しゃくるようにチキンに顎を向け、バスルームに消える。
今日の母は、怖い……。
味のしないチキンとケーキを口に頬り込み、母にわからないようにサラダを捨てた。
食べたく……ない。
自分の部屋に戻って、深呼吸をして白い携帯を見つめる。
覚えたてのメールを打って、先生に送信した。
“奏馬さん、大好きです。”
先生じゃなくて、そうま、さん……。
間を置かずすぐに返信は来た。
“俺も好きだよ。敬語やめるんじゃなかったの?”
きゅううっ……と胸が締め付けられる。
先生。先生。
先生が、大好き。

