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秘密のピアノレッスン
第18章 見えていなかったもの
「……わ、私っ……好きな人がいるの。私、その人といたいの……」
パパなら、わかってくれるはず。
パパと佳苗先生は幼なじみだし、優しいパパだもの。わかってくれるはず。
「好きな人?」
父の強張った表情に気付かないまま、私はまくしたてた。
「あのね、ピアノの先生の、奏馬さんなの! 私を救ってくれたの……」
とても素敵な人だよ。だから私、ずっと彼といたいの。
そう、思いながら父を見上げた。すると、思いもよらない表情をした父が、唇を噛みしめた。
「……しばらく会わないうちに、男に溺れていたのか」
「えっ?」
「佳苗さんも……一体どんな教育してるんだ」
かあっと顔が赤くなった。
先生の話は言うべきではなかったとこの時にやっと気付いたのだ。
話せばわかってくれると思うのは、浅はかだった。
佳苗先生のことまで、そういう風に言われるなんて……。
「更紗……お前も、ママと一緒なんだな」
私は、ママと一緒?
どういうところが?
寂しくなると、セックスしてしまうところ?
悲しくつぶやく父の姿に、私は何も返せなかった。
パパなら、わかってくれるはず。
パパと佳苗先生は幼なじみだし、優しいパパだもの。わかってくれるはず。
「好きな人?」
父の強張った表情に気付かないまま、私はまくしたてた。
「あのね、ピアノの先生の、奏馬さんなの! 私を救ってくれたの……」
とても素敵な人だよ。だから私、ずっと彼といたいの。
そう、思いながら父を見上げた。すると、思いもよらない表情をした父が、唇を噛みしめた。
「……しばらく会わないうちに、男に溺れていたのか」
「えっ?」
「佳苗さんも……一体どんな教育してるんだ」
かあっと顔が赤くなった。
先生の話は言うべきではなかったとこの時にやっと気付いたのだ。
話せばわかってくれると思うのは、浅はかだった。
佳苗先生のことまで、そういう風に言われるなんて……。
「更紗……お前も、ママと一緒なんだな」
私は、ママと一緒?
どういうところが?
寂しくなると、セックスしてしまうところ?
悲しくつぶやく父の姿に、私は何も返せなかった。