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秘密のピアノレッスン
第4章 淡い思い
無機質なデジタル時計が、もうすぐ20時を示そうとしていた。レッスンももうすぐ終わる。
「今日はこんなもんかな。とりあえず弾き込んでね」
「はい」
まだまだだなあ。
先生は、呆れちゃってないだろうか……。
子供の時から使っている、音符と鍵盤がデザインされた黒のレッスンバッグ。持ち手には父がくれたくまのキーホルダーがついている。
そのバッグをそっと広げて楽譜を入れていたら、先生が長い手を天井に上げ、伸びをした。
「滝沢さん、ケーキ好き?」
「あ……はい……」
「食べて帰らない? 今日、差し入れでもらったんだけど、僕、甘いのそんなに食べられないからさ」
せ、先生と一緒にケーキを……?
「いただきます……」
「よし。じゃ、バッグは置いといて、座って。コーヒーでいい?」
大きな木のテーブルを指差されて、おどおどと迷いながら椅子をひいて座った。
先生は、ここで食事をしたりするらしい。この部屋には生活感がまるでないから、先生の生活も想像がつかなくて、そういう話を聞くと新鮮な感動を覚える。
「今日はこんなもんかな。とりあえず弾き込んでね」
「はい」
まだまだだなあ。
先生は、呆れちゃってないだろうか……。
子供の時から使っている、音符と鍵盤がデザインされた黒のレッスンバッグ。持ち手には父がくれたくまのキーホルダーがついている。
そのバッグをそっと広げて楽譜を入れていたら、先生が長い手を天井に上げ、伸びをした。
「滝沢さん、ケーキ好き?」
「あ……はい……」
「食べて帰らない? 今日、差し入れでもらったんだけど、僕、甘いのそんなに食べられないからさ」
せ、先生と一緒にケーキを……?
「いただきます……」
「よし。じゃ、バッグは置いといて、座って。コーヒーでいい?」
大きな木のテーブルを指差されて、おどおどと迷いながら椅子をひいて座った。
先生は、ここで食事をしたりするらしい。この部屋には生活感がまるでないから、先生の生活も想像がつかなくて、そういう話を聞くと新鮮な感動を覚える。