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秘密のピアノレッスン
第4章 淡い思い
先生はキッチンに立って、ケトルを火にかけていた。
そして、手持無沙汰にしている私をちらっと見てから、「そっちの棚の中段、見てみて」と言った。
「棚ですか……?」
「うん。それあげる」
何……?
そっと立ちあがって、棚を見に行ってみると、くまのシールステッカーが置かれていた。
「あれ、これ角川先生のシール……」
「そう。昨日実家戻ったから、何枚かもらってきたんだ。レッスン場所がここに変わってから、シール貼らなくなったでしょう」
私のために?
あ、でも、先生が受け持っている生徒は私の他に、小学生の男の子と、中学生の男の子がいるから、私だけとは限らない。
先生は湯口の細いケトルを持ち上げ、コーヒーフィルターに細く湯を落とす。
「君、よく、くまのシール選んでたから、これかなって」
色とりどりのかわいらしいくまのシール。
……嬉しい。
私だけのためではなくても、先生が私のことを考えてくれた時間が存在したのが、愛おしくてくすぐったい……。
「ありがとうございます……」
小さな声でしかお礼が言えなかったけれど、先生がにこりと微笑んだ。
ずっと大事にしよう……。
そして、手持無沙汰にしている私をちらっと見てから、「そっちの棚の中段、見てみて」と言った。
「棚ですか……?」
「うん。それあげる」
何……?
そっと立ちあがって、棚を見に行ってみると、くまのシールステッカーが置かれていた。
「あれ、これ角川先生のシール……」
「そう。昨日実家戻ったから、何枚かもらってきたんだ。レッスン場所がここに変わってから、シール貼らなくなったでしょう」
私のために?
あ、でも、先生が受け持っている生徒は私の他に、小学生の男の子と、中学生の男の子がいるから、私だけとは限らない。
先生は湯口の細いケトルを持ち上げ、コーヒーフィルターに細く湯を落とす。
「君、よく、くまのシール選んでたから、これかなって」
色とりどりのかわいらしいくまのシール。
……嬉しい。
私だけのためではなくても、先生が私のことを考えてくれた時間が存在したのが、愛おしくてくすぐったい……。
「ありがとうございます……」
小さな声でしかお礼が言えなかったけれど、先生がにこりと微笑んだ。
ずっと大事にしよう……。