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秘密のピアノレッスン
第1章 イントロダクション
習いごとはたくさんしてきたけれど、ずっと続いているのはピアノだけ。
先生は、ママよりいくつか年上の、黒いロングヘアが印象的な品のある女の人で、小さい頃から通っているけれど、いつもとても優しく、こんな人がママだったらと思う事もしばしばあった。
かどかわピアノ教室。
同じ町内にある、私の家から歩いて5分の一軒家で営まれている。
閑静な住宅街に佇む煉瓦造りの外観で、表札の下に、白木でできた小さなピアノの看板が吊り下げられている。
玄関の前から、ピアノの音がうっすらと聞こえているのだが、今日は聞こえない。
不思議に思いながら、インターホンを鳴らした。
ガチャリと鍵が開けられて、重いノブを回してドアを開く。
「おじゃまします」とつぶやきながら、靴を脱ぎ揃えて室内に上がると、レッスン室にしている1階の部屋から、物音がした。
「こんばんは……」
「こんばんは。滝沢更紗さん?」
え……だ、誰?
低く甘く、いい声だけれど、顔つきは少し冷たそう。
すらりと背が高く、黒縁メガネで、黒い髪の男の人。
冷たげな瞳に気後れして、ドアから部屋に入れずにいた。
先生は、ママよりいくつか年上の、黒いロングヘアが印象的な品のある女の人で、小さい頃から通っているけれど、いつもとても優しく、こんな人がママだったらと思う事もしばしばあった。
かどかわピアノ教室。
同じ町内にある、私の家から歩いて5分の一軒家で営まれている。
閑静な住宅街に佇む煉瓦造りの外観で、表札の下に、白木でできた小さなピアノの看板が吊り下げられている。
玄関の前から、ピアノの音がうっすらと聞こえているのだが、今日は聞こえない。
不思議に思いながら、インターホンを鳴らした。
ガチャリと鍵が開けられて、重いノブを回してドアを開く。
「おじゃまします」とつぶやきながら、靴を脱ぎ揃えて室内に上がると、レッスン室にしている1階の部屋から、物音がした。
「こんばんは……」
「こんばんは。滝沢更紗さん?」
え……だ、誰?
低く甘く、いい声だけれど、顔つきは少し冷たそう。
すらりと背が高く、黒縁メガネで、黒い髪の男の人。
冷たげな瞳に気後れして、ドアから部屋に入れずにいた。