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秘密のピアノレッスン
第8章 指

「今日は紅茶もあるよ。クライアントさんがくれたから。コーヒーと、どっちにする?」
先生は普段と変わりなく接してくれる。
「あの、今日は……昨日の帰り、失礼な帰り方をしたので、それを謝りに来たんです。だから、あの……長居はするつもりなくて」
グランドピアノの前でしどろもどろになる私を、先生はキッチンカウンターの中から見ていた。
「このあと、何か用があるの?家の人が心配する?」
「いえ……あの……」
「じゃあ、そんなに慌てないで、飲んで帰ればいいよ」
シャアアと音を立てて白いケトルに水が注がれる。
……いつもの先生だ。
椅子に座ってと言われて席につこうとするが、大きな木のテーブルの上にはたくさんの書類が散乱している。
先生は「レッスンの日は一応片付けてるんだ」と苦笑いしていた。
何でもそつなくこなしそうないつも冷静な先生の意外な一面に、ふふっと笑いながら書類を纏める。
今日は、紅茶。
ダージリンの茶葉はミルクティーに向くらしいけれど、家にミルクがないって先生が笑っていて。
ティーポットにいい香りのする茶葉を入れて、蒸らすために蓋をしたあと……。
私はキッチンで先生に抱きしめられていた。
先生は普段と変わりなく接してくれる。
「あの、今日は……昨日の帰り、失礼な帰り方をしたので、それを謝りに来たんです。だから、あの……長居はするつもりなくて」
グランドピアノの前でしどろもどろになる私を、先生はキッチンカウンターの中から見ていた。
「このあと、何か用があるの?家の人が心配する?」
「いえ……あの……」
「じゃあ、そんなに慌てないで、飲んで帰ればいいよ」
シャアアと音を立てて白いケトルに水が注がれる。
……いつもの先生だ。
椅子に座ってと言われて席につこうとするが、大きな木のテーブルの上にはたくさんの書類が散乱している。
先生は「レッスンの日は一応片付けてるんだ」と苦笑いしていた。
何でもそつなくこなしそうないつも冷静な先生の意外な一面に、ふふっと笑いながら書類を纏める。
今日は、紅茶。
ダージリンの茶葉はミルクティーに向くらしいけれど、家にミルクがないって先生が笑っていて。
ティーポットにいい香りのする茶葉を入れて、蒸らすために蓋をしたあと……。
私はキッチンで先生に抱きしめられていた。

