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秘密のピアノレッスン
第9章 深み

翌週の木曜日。レッスンバッグとツリーの箱を持って先生のマンションを訪れた。
1、9、0、1……と押しても、誰も出ない。
おかしいなぁ……。
今日はレッスン日なのに、不在なんて。
よいしょと箱を抱え直したら、ガラスの扉の向こうのエレベーターが開いた。
「もしかして、ツリー持ってくるのかなと思って降りてきたけど……箱、大きいじゃない」
先生が近寄るとエントランスのオートロック扉が開かれる。箱を抱き締めてロビーに入った。
「私も、もっと小さいと思っていたんですけど……」
「これ、家から抱えて持ってきたの?」
「はい!」
力持ちなんだね、と先生が苦笑しながら、私の手からツリーの箱を取りあげた。
大きさはあるが、重くはないから平気だ。
「ひとこと連絡くれたら、迎えに行ったのに」
「佳苗先生の教室の番号しか知らなかったし、持ってこれるかなと思ったので……」
先生が迎えにきてくれるのは嬉しいけれど、母に見つかるのは気が引ける……。
「僕の連絡先も伝えておかないといけなかったね。気が回らなくて悪かった」
先生と、はじめて並んで歩く。
いつもより、ずっと背が高く感じるし、きれいに磨かれたガラス張りのロビーの内装に映る先生は、とてもかっこよくて、横に並ぶのが恥ずかしくなるほど素敵だ。
1、9、0、1……と押しても、誰も出ない。
おかしいなぁ……。
今日はレッスン日なのに、不在なんて。
よいしょと箱を抱え直したら、ガラスの扉の向こうのエレベーターが開いた。
「もしかして、ツリー持ってくるのかなと思って降りてきたけど……箱、大きいじゃない」
先生が近寄るとエントランスのオートロック扉が開かれる。箱を抱き締めてロビーに入った。
「私も、もっと小さいと思っていたんですけど……」
「これ、家から抱えて持ってきたの?」
「はい!」
力持ちなんだね、と先生が苦笑しながら、私の手からツリーの箱を取りあげた。
大きさはあるが、重くはないから平気だ。
「ひとこと連絡くれたら、迎えに行ったのに」
「佳苗先生の教室の番号しか知らなかったし、持ってこれるかなと思ったので……」
先生が迎えにきてくれるのは嬉しいけれど、母に見つかるのは気が引ける……。
「僕の連絡先も伝えておかないといけなかったね。気が回らなくて悪かった」
先生と、はじめて並んで歩く。
いつもより、ずっと背が高く感じるし、きれいに磨かれたガラス張りのロビーの内装に映る先生は、とてもかっこよくて、横に並ぶのが恥ずかしくなるほど素敵だ。

