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秘密のピアノレッスン
第10章 18歳
「更紗。クリスマスはママ、旅行の予定があるの。悪いけれど、パパのおばあちゃまの家に行ってちょうだいね」
夕食どき。
母がにこやかな笑顔で、クリスマスの予定を話した。
ネイルの色が変わっている。いつもはピンクベージュなのに、ストーンのついたワインレッドに。
父のいるカナダに行かなくなってから、母は年に一、二度ぐらい、忘れたころにぽつりと外泊の予定を入れる。
「わかりました。あ、ママ。明日は、ちょっと……が、学校があるの」
「土曜日に?補習じゃないでしょうね?」
「違うよ。ちょっと……用が」
恋愛から縁遠かった私は、親を欺いてまで外出するような出来事は今まで一度もなかった。
生まれて初めて、私は男の人に会うために嘘をついた。
母は、いいとも悪いとも言わず、食べ終えた食器を運ぶ。
私も、同じように食器を片付けた。
旅行かぁ。どこに行くのかな。
父方の祖母はもう高齢だが、お手伝いさんがいるような屋敷。
私の来訪を歓迎してはくれるのだが、少し気後れしてしまう。
夕食どき。
母がにこやかな笑顔で、クリスマスの予定を話した。
ネイルの色が変わっている。いつもはピンクベージュなのに、ストーンのついたワインレッドに。
父のいるカナダに行かなくなってから、母は年に一、二度ぐらい、忘れたころにぽつりと外泊の予定を入れる。
「わかりました。あ、ママ。明日は、ちょっと……が、学校があるの」
「土曜日に?補習じゃないでしょうね?」
「違うよ。ちょっと……用が」
恋愛から縁遠かった私は、親を欺いてまで外出するような出来事は今まで一度もなかった。
生まれて初めて、私は男の人に会うために嘘をついた。
母は、いいとも悪いとも言わず、食べ終えた食器を運ぶ。
私も、同じように食器を片付けた。
旅行かぁ。どこに行くのかな。
父方の祖母はもう高齢だが、お手伝いさんがいるような屋敷。
私の来訪を歓迎してはくれるのだが、少し気後れしてしまう。