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どうか、その声をもう一度
第3章 冬に溶ける憂鬱

射精を終えたモノを引き抜かれると、ベッドに崩れ落ちるしかできなかった。手早くゴムを処理した秀治はベッドに横になって、腕を広げる。こういうところも好き。すり寄って、裸の胸にキスをする。そっと私を抱き寄せて髪を撫でてくれる手も好きだ。
「秀治、もう1回して」
「今日はもう無理。腹減ったし」
「じゃあ、ご飯食べてからで良いから」
「俺、明日、今日より早いんだよ」
「じゃあ、私が動くから」
「そんなこと言って、お前、いつもへたるじゃん」
横になって秀治が髪を撫でてくれていた時間は1分にも満たなかったと思う。心地良さに目を伏せていると彼はゆっくり起き上がって、ベッドの下に放り出していた掛布団を引き上げ、私にかけてくれた。
「秀治?」
「飯、俺が作るよ。彩夏は少し寝てな」
「……うん、ありがとう」
クローゼットを開け、新しい下着と部屋着のスウェットを片手に秀治は寝室を出ていった。羽毛布団に包まって、瞼を下ろすと途端に泣き出したくなった。
秀治のことが好きで好きで堪らないのに、彼の優しさは私への後ろめたさからくるものなんじゃないかと勘繰って、素直に喜ぶことができない。私は、彼の傍に居ればいるほど、醜くなっていく。
秀治がパスタを作ってくれて、2人で食べてから、一緒にお風呂に入りたいと言うと彼はしょうがないなあと笑った。狭い浴室でじゃれ合って、秀治の身体に触れると心が満たされる。誰にも触れさせない。この人は私だけの人だ。
「……秀治、やっぱりダメ?」
「お前、今日どうしたの?」
「分かんない…でも、したい」
「……ったく」
風呂から上がって、いつも通り、明日は何時に出るの?で始まる会話。そうしながら眠る支度を整える。ベッドに潜り込んでから、秀治の身体に抱き着いてねだった。短く息をつき、手を性急に寝間着のズボンの中へ突っ込む。やわやわと太腿を撫でる手のひらの熱を感じながら、首を伸ばしてキスをする。

