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第1章 『蘇った者』

　辻斬りの目撃情報の多い江戸川沿いを二つの影が音もなく駆ける。
　さすがに深夜の一時を過ぎると人影はない。川の流れる音が聞こえる。街灯があるから真っ暗ではないものの、やはり影は暗く深い。

　俺達はそんな影を選んで先に進む。

　前方に濃厚な気配。ひた、と花楓が足を止めた。真っ青な顔で前を見ている。

　それは、そこにいた。

　圧倒的な剣気をまき散らす男は、月明かりの中、大きな岩のような存在感でそこに立っていた。