パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 『蘇った者』

　俺も花楓も剣術が好きだ。でも意外かもしれないけど高校の剣道部には所属していない。
　真剣を用いての実戦を想定している『沙川古流』とスポーツ精神を重んじる剣道は似ていても全く違うものだ。

　日本刀は引く時に切れ味をいちばん発揮する。『沙川古流』では相手の体に刃を軽く当てすっと引く、という技がある。力の入らない分読まれにくい技だが、それだけで相手の肌を浅くでも裂くことが出来る。
　痛みは正確な判断を、出血は体力を奪う。血で濡れれば刀の柄が滑って持ちにくくもなる。もし相手の利き腕を傷付けることが出来れば攻撃力を半減させることが出来る。

　そうやって必勝の体勢を決する。

　剣道では一本にも有効打にもならない。でも卑怯でも何でもない。
　死して屍拾うものなし。生き残ることが最終的に勝利に繋がるのだ。

　それが忍の考え方だ。