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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
それは強くて硬い、大きな岩のような男だった。背はさほど高くない。しかしがっしりとした体を持ち、何よりもその立ち姿に威圧感がある。
すらりと背を伸ばし立つその男は浅葱色の段だら模様の羽織に身を包み、気配を殺しているはずの俺達の方へを視線を送る。
「よく来た。もっと近くに寄れ」
思いがけず声をかけられて、俺と花楓の目が合う。言われるがまま出てもいいのか、目で聞いてくる。
俺は頷くと影から出る。どうせもう見つかってしまっているし、このまま隠れていても意味がない。
それに、この男が俺達の目的である辻斬りなのは間違いようがなかった。
腰に刀を帯びているし、何よりも発する気配が尋常ではない。一流の剣客でもここまでの剣気は出せないだろう。剣の腕では一流の花楓の顔を青ざめさせるほどの剣気。
「ほう、少年か」
男は値踏みするように俺の頭から爪先まで視線を走らせる。たったそれだけなのに、俺の体から汗が噴き出した。
次いで視線を向けられた花楓がぶるっと身震いをした。
その様子を見て男が気を静める。俺達に向けた威圧感は消えたが相変わらず付近は男の放つ剣気に覆われている。
「今日はいつもと違う気配を感じてな。余計な邪魔が入らぬようにと周囲を威圧しておった。ここに来るまでに誰にも会わなかったであろう」
確かに、ここに来るまでの間に誰にも会わなかった。時間のことを考えたとしても深夜ランニングの人など、誰かとすれ違ってもよさそうなものだが。
つまり、目の前に立つこの男が剣気で結界を張っていたということか。一般人が無意識にそこを避けたくなるような、そんな結界。
すらりと背を伸ばし立つその男は浅葱色の段だら模様の羽織に身を包み、気配を殺しているはずの俺達の方へを視線を送る。
「よく来た。もっと近くに寄れ」
思いがけず声をかけられて、俺と花楓の目が合う。言われるがまま出てもいいのか、目で聞いてくる。
俺は頷くと影から出る。どうせもう見つかってしまっているし、このまま隠れていても意味がない。
それに、この男が俺達の目的である辻斬りなのは間違いようがなかった。
腰に刀を帯びているし、何よりも発する気配が尋常ではない。一流の剣客でもここまでの剣気は出せないだろう。剣の腕では一流の花楓の顔を青ざめさせるほどの剣気。
「ほう、少年か」
男は値踏みするように俺の頭から爪先まで視線を走らせる。たったそれだけなのに、俺の体から汗が噴き出した。
次いで視線を向けられた花楓がぶるっと身震いをした。
その様子を見て男が気を静める。俺達に向けた威圧感は消えたが相変わらず付近は男の放つ剣気に覆われている。
「今日はいつもと違う気配を感じてな。余計な邪魔が入らぬようにと周囲を威圧しておった。ここに来るまでに誰にも会わなかったであろう」
確かに、ここに来るまでの間に誰にも会わなかった。時間のことを考えたとしても深夜ランニングの人など、誰かとすれ違ってもよさそうなものだが。
つまり、目の前に立つこの男が剣気で結界を張っていたということか。一般人が無意識にそこを避けたくなるような、そんな結界。