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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
何かが顔に噴きかかると思ったら、それは俺自身の血だった。遠くで誰かの悲鳴が聞こえたような気もするが、耳鳴りがしてよく聞き取れない。
夜空が見える。月が丸い。ということは、俺は今倒れているのか。
不思議と痛みはなかった。ただ血と共に力が流れ出ていくかのような、そんな感じ。体が徐々に冷えていき、意識が薄くなって目を開けているのが気怠い。
閉じかけた目の端に血溜まりを踏むスニーカーが映った。しなやかに地面を蹴ると、遠くなった俺の耳に刀が撃ち合う音が聞こえた。
「させない…させないんだからっ!」
素早く飛び退いた小柄な体が俺を抱え込む。夜気に当てられ血を失ってすっかり冷えた俺を抱き込む柔らかな膨らみが暖かい。
「待ってなさい、近藤! 絶対、絶対あたし達があんたを倒す!」
抱きかかえた体の下でスマホを操作する。同時に左右の茂みからばっと木の葉が舞った。
忍法、木の葉隠れ。季節が季節なら術者の名のごとく風に花弁を舞わせ体を隠す。
花楓は俺を抱えたまま、その中に姿を溶け込ませた。
「待っているぞ、少年」
遠くなる意識の向こうに、確かに近藤の声が聞こえた。
夜空が見える。月が丸い。ということは、俺は今倒れているのか。
不思議と痛みはなかった。ただ血と共に力が流れ出ていくかのような、そんな感じ。体が徐々に冷えていき、意識が薄くなって目を開けているのが気怠い。
閉じかけた目の端に血溜まりを踏むスニーカーが映った。しなやかに地面を蹴ると、遠くなった俺の耳に刀が撃ち合う音が聞こえた。
「させない…させないんだからっ!」
素早く飛び退いた小柄な体が俺を抱え込む。夜気に当てられ血を失ってすっかり冷えた俺を抱き込む柔らかな膨らみが暖かい。
「待ってなさい、近藤! 絶対、絶対あたし達があんたを倒す!」
抱きかかえた体の下でスマホを操作する。同時に左右の茂みからばっと木の葉が舞った。
忍法、木の葉隠れ。季節が季節なら術者の名のごとく風に花弁を舞わせ体を隠す。
花楓は俺を抱えたまま、その中に姿を溶け込ませた。
「待っているぞ、少年」
遠くなる意識の向こうに、確かに近藤の声が聞こえた。