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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
 ぎぃ…んっ!

 近藤の重い一撃を受け止めて、俺の刀が鳴る。反射神経だけでそれが出来たが、すっかり腕が痺れてしまった。それくらいの重い一撃だった。

 今のはあくまでまぐれ。反射的に刀を出したら受け止められた、というそれだけ。見えたわけでも考えたわけでもない。

 たたらを踏んで後退する俺に、二の剣三の剣が襲いかかる。

 どうにかそれを避けることが出来たのは、近藤が手を抜いているからだ。実戦が初めての俺に、その怖さを教え込むかのような、そんな剣だ。

 俺は恐怖に突き動かされた。このままじゃ死ぬ。絶対に死ぬ。守ってばかりでは何も出来ずに殺される。近藤が本気になったら受けきれない。

 剣の基本も道理も忘れた。ただ恐怖で近藤に斬りかかった。
 死への恐怖からかそれでも俺の刀は思いの外早く、近藤へ振りかざされた。

 もちろん、その時は夢中でそんなことを考える余裕はなかった。この後のことも「後で落ち着いて思い出してみれば」という記憶に基づいた話だ。

 近藤の刀は俺の剣を難なく受け止める。がきっと鍔が鳴り体ごと振り払われた。

「ふむ、なかなかの太刀筋だ。悪くないぞ、少年。しかし」

 ちゃきっと鍔鳴りを響かせて近藤が構える。

「─まだ、未熟」

 近藤の姿が大きくなった。剣気が大きく膨らんだ。

 俺はその剣気に呑まれ、その剣に斬られた。
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