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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
 俺の両親はもうずっと前に死んでしまった。車の事故で二人同時に仲良く天国に行ってしまった。まだ二歳だった俺はご近所さんの沙川家に引き取られ、花楓と本当の姉弟のように育ててもらった。
 
 花楓にも父親がいない。理由は知らないが早くに亡くなってしまった。以後、花楓のじーちゃんとお母さん、そして花楓と俺の四人で暮らしている。

 古い日本家屋で道場までついている木造の家は大きく、俺一人が転がり込んできたところでちっとも手狭に感じたりはしない。それどころか俺は豪華にも離れの一室を与えてもらっている。

 というのも、子供の頃はよかったがいくら姉弟同然とはいえ血の繋がっていない年頃の男女が同じ建物の中で寝起きするのはよくないのでは、と中学に入ったころに離れに部屋を移した。実は一人暮らしに憧れた俺の希望で、離れの部屋は一人暮らしの雰囲気を少しとはいえ味わうことが出来る。今思うと生意気で大人ぶった子供の考え以外の何物でもないが、離れの部屋での暮らしはけっこう気に入っている。

 だって音を小さくすればイヤホンとかしなくてもアダルトな動画を見れるしね。沙川家は古い日本家屋だから部屋を隔てるのは全て襖だ。当然鍵なんてない。オナニーも気楽に出来やしない。

 道場の所在地は千葉県流山市。沙川古流剣術道場。どうぞよろしく。

 地元の剣道少年少女の他にも、健康志向の人や趣味でやっている人が集まっては竹刀や木刀を振っている。剣術道場というよりは地域の皆様のコミュニティーの場のようになってはいるが、剣道だけではなく古くから伝わる実戦剣術も教えている。一応天下の剣、柳生新陰流の流れを汲む流派ということになっている。

 そこの看板娘、沙川花楓がストレス花楓になっている理由。
 それは最近現れた謎の辻斬りのせいだ。
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