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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第1章 『蘇った者』
 辻斬りって言うと時代劇とかによく出て来る、夜道でいきなり斬りかかってくる怖い人というイメージだと思うけど、それがまさに正解。平成ももう三十年目を迎えご高齢の天皇陛下が退位を決断されたこの時代に現れた辻斬り。

 幸いにまだ死者は出ていない。けど怪我人は何人も出た。

 凶器は鋭利な刃物。目撃者の証言で日本刀だということが分かっている。日本刀なんて一家に一本なんて代物じゃない。それで古流剣術を教えていて真剣を持ってもいる沙川古流道場が謂れのない非難の言葉を浴びている。道場始まって以来の大炎上だ。

 それが人一倍正義感の強い花楓のストレスになっている。

「荒れとるのぉ」

 穏やかな声に花楓を取り巻く剣気がすっと消える。声の持ち主はこの沙川道場の師範で花楓のじーちゃん。すっかり腰も丸くなったご老人だけど、竹刀捌きは精巧で俺も師範代を名乗ることを許されている花楓も、まだまだ子ども扱いされてしまう。

 ただし、短時間だけ。

 長い時間になると体がついて行かなくなるみたいだ。ついでに次の日体の節々が痛くなるらしい。歳をとるというのはそういうことなのか、まだ俺にはよく分からないけど。

 花楓もようやく竹刀を下ろす。どうやらこれ以上撃たれなくてすみそうだ。

「荒れておるのは例の件のせいじゃな」
「うん…」

 竹刀を壁に架けると、力尽きて座り込む俺の防具を外してくれる。
 ふう、やっとでお役御免だよ。

「そんなに周りの声が気になるかの?」
「それは気になるよ」

 辻斬り騒ぎ以来道場は静かになってしまった。人斬り道場なんて言う人もいたりする。そこまで言う人はごく少数だけど、ほとんどの人が来なくなってしまった。いまだに来てくれるのは古くからの付き合いのある数人だけだ。

 花楓の性格上、辻斬りのような行為を許すことは出来ない。そして花楓は道場も、そこに集まる人も好きだった。
 真面目で剣術が好きで、道場に来てくれる人の面倒を見るのも好きで。

 花楓は一度に多くのものを奪われた。そういっても大袈裟じゃない。
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