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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第3章 卑劣! 武田観柳斎!!
「さてさて、せっかくの出会いですが、こちらもいろいろと忙しい身、早々と始めましょうか」

 態度とは裏腹にすらりと刀を抜く姿は様になっていた。長身と相まってなかなか威圧感もある。それが油断のならない相手だと俺に告げる。
 結局、花楓と『力』の特訓は出来なかった。剣の稽古は毎日しているし、近藤との戦い以降、より稽古の強度を上げて来た。

 不安がないと言えば嘘になるが、勝てる要因がないわけでもない。精一杯の準備はしてきたつもりだ。

 そう思おう。

「…いいぜ、花楓」
「う、うん」

 相変わらず花楓は『力』を積極的に使おうとはしない。それでも小太刀を抜き、俺に向き合った。

「ちゃっちゃと決めちゃってよ、いい?」
「おう、分かった。頑張るよ」
「…頼むわよ」

 すうっと目を細め、意識を集中して俺と同調していく。俺の刀に青白い炎が宿り、それが全身を覆っていく。

「ん…っ!」

 何かに耐えるように花楓の肩がきゅうっとすぼまる。俺の体に力が漲る。

「行くぞ、武田!」

 その一歩を俺が踏み出した瞬間、

「はーっはっは! 待っていましたよ、この瞬間を!」

 いくつもの影が俺達を取り囲んだ。新選組の隊士達だった。

「きゃっ!」

 背後で花楓の悲鳴が聞こえた。
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