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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第3章 卑劣! 武田観柳斎!!
「来たか」

 にやり、とその男はねちっこく笑う。服装は近藤と同じ浅葱色の段だら羽織。腰には日本刀を帯びている。

 新選組の男なのは間違いがない。しかし俺は近藤や永倉に感じたような畏怖、あるいは尊敬にも似た気持ちを目の前の男に抱くことは出来なかった。

 その笑いのせいだ。

 いやらしく、ねちっこい。そんな印象を受ける。

「私は新選組五番隊の組長を務める武田観柳斎という。覚えておいてもらいましょう」

 淀みなく男は名乗った。

 武田観柳斎。甲斐流の軍学者であり、新選組では文官という印象が強いが実は神道無念流の達人でもある。
 俺が調べた限りでは「上にへつらい下には威張る」というような性格で、隊内では武田を嫌う者も多かったという。先に戦った永倉が近藤を袂を分かったのも、武田が近藤に「隊士は家臣同然」と吹き込んだのも遠因になっている。

 背は高く坊主頭。後に新選組を裏切って独立した伊東甲子太郎や敵対していた薩摩藩との接触を試み、最後は新選組の斎藤一に斬られた。

「待っていましたよ、お二人とも」

 またいやらしい笑みを浮かべて俺と花楓を交互に見比べる。特に花楓を値踏みするように足元から頭の先まで。

「ほう、なかなか」
「な、何よ」

 その視線に何かを感じたか、俺の陰に体を隠す。

「いえいえ、今日はいい思いが出来そうだと思いましてね」
「いい思い?」
「すぐに分かりますよ」

 俺、こいつ嫌い。何か嫌い。

 剣客なら正面から刀と刀で勝負するのが礼儀、或いは義務もしくは責任だと思っている。
 刀の勝負は命の奪い合い。相手の命に対しての敬意、そして戦いに応じてくれた相手に真っ向から立ち向かうのが剣客としての振る舞い。俺は常々そう思って来たし、道場での稽古でもじーちゃんもずっとそういうことを俺達に教えてきてくれた。

 近藤も永倉も、そういう戦いをしてくれた。

 新選組は市内巡察という役目を担っていた。負けられない戦いの連続だった。だから傍目には卑怯と言われるような戦いをすることもあったと聞く。しかしそれも確固たる信念のもと行われた戦いだったはずだ。

 なのに、この武田観柳斎という男。いかにも含みがありそうな態度を見せ続けている。
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