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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第3章 卑劣! 武田観柳斎!!
「あぐ、うう…っ!」
呻きながらも武田が身を起こす。必殺の一撃が入ったかと思ったが、しかし武田もやはり新選組の幹部に名を連ねるだけはある。精神力が並みの隊士とは違った。
実体を持たない彼らは精神力で現世に具現化している。
残念ながらその精神までもを完全に斬り裂くことは出来なかったようだ。俺の手にも「命を絶った」という手応えは残らなかった。
よろよろと起き上がり、覚束ない足取りで離れていく。逃げていく。下半身を剥きだしにした、情けない姿のままで。
俺にも追撃するだけの力は残っていなかった。
『力』を失い、怒りに任せて振るった剣は俺の体力と精神力をごっそり削っていったし、全身傷だらけでもある。もう、立っているのも辛い。
あの深手では武田はおそらく生き永らえないだろう。脇腹から噴き出す血の量が尋常ではない。その血は痕を残すこともなく、闇の中に消えていく。
それに俺は武田を追うよりも先にすることがある。
重い体を忘れるほど大切な人…
「花楓っ!」
俺が駆け寄ると花楓は、ほんの僅か顔をこちらに向けた。頬は涙で濡れている。
「あは…小次郎、あたし…」
大きな目にまた新たな涙が盛り上がる。
「汚されちゃった…」
声もなく静かに泣く花楓。俺はかける言葉も見つけられず、ただその場に立ち尽くした。
呻きながらも武田が身を起こす。必殺の一撃が入ったかと思ったが、しかし武田もやはり新選組の幹部に名を連ねるだけはある。精神力が並みの隊士とは違った。
実体を持たない彼らは精神力で現世に具現化している。
残念ながらその精神までもを完全に斬り裂くことは出来なかったようだ。俺の手にも「命を絶った」という手応えは残らなかった。
よろよろと起き上がり、覚束ない足取りで離れていく。逃げていく。下半身を剥きだしにした、情けない姿のままで。
俺にも追撃するだけの力は残っていなかった。
『力』を失い、怒りに任せて振るった剣は俺の体力と精神力をごっそり削っていったし、全身傷だらけでもある。もう、立っているのも辛い。
あの深手では武田はおそらく生き永らえないだろう。脇腹から噴き出す血の量が尋常ではない。その血は痕を残すこともなく、闇の中に消えていく。
それに俺は武田を追うよりも先にすることがある。
重い体を忘れるほど大切な人…
「花楓っ!」
俺が駆け寄ると花楓は、ほんの僅か顔をこちらに向けた。頬は涙で濡れている。
「あは…小次郎、あたし…」
大きな目にまた新たな涙が盛り上がる。
「汚されちゃった…」
声もなく静かに泣く花楓。俺はかける言葉も見つけられず、ただその場に立ち尽くした。