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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第4章 脱童貞! 宮本小次郎!!
「花楓…」
「…うん」
「あのさ…」
「…うん」
好きだ。
その一言がどうしても口から出てこない。
真剣を向けられ殺意を叩きつけられ、命のやり取りをしてきたというのに。普段から剣の稽古で精神を鍛えてきたというのに。
「あの、さ…」
「……うん」
花楓はじっと待ってくれている。俺の言葉を。
「えっと、だから…」
ばりっ、という音が聞こえた。
俺が目を向けると花楓の爪が畳を引っ掻いていた。
「ああ、もう! しゃんとしてよ! あたしは必死に唇だけは守ったんだよ!」
「唇?」
ぎゅっと拳を握り、それを胸に強く押し当てて花楓が訴える。その目には涙が浮いている。
「武田に乱暴されて、は…初めては奪われたけど、唇だけは守ったんだよ! せめて…せめてファーストキスだけは好きな相手にもらってもらいたいって!」
一息に捲し立てた花楓の目から涙が一筋流れ落ちる。
花楓は昨夜、腕を顔に巻き付けるように隠していた。両手で顔を覆っていた。
それは泣き叫ぶ顔を見られなくなかったから。自分がされていることを、自分を襲う男を見たくなかったから。そう思っていた。
きっとそれも間違っていない。間違ってはいないけど、それだけじゃなかった。
花楓は守っていたんだ。初めてのキスを。
それだけは必死に。健気に。
そして最後まで守り通した。
握った拳が弱々しく俺に打ち付けられる。
「あんたにもらってもらいたかったから…」
「…うん」
その腕を掴み花楓を引き寄せる。細く小さな体を抱く。
俺の胸元で花楓が見上げる。
「小次郎、キスして…」
「…うん」
「あのさ…」
「…うん」
好きだ。
その一言がどうしても口から出てこない。
真剣を向けられ殺意を叩きつけられ、命のやり取りをしてきたというのに。普段から剣の稽古で精神を鍛えてきたというのに。
「あの、さ…」
「……うん」
花楓はじっと待ってくれている。俺の言葉を。
「えっと、だから…」
ばりっ、という音が聞こえた。
俺が目を向けると花楓の爪が畳を引っ掻いていた。
「ああ、もう! しゃんとしてよ! あたしは必死に唇だけは守ったんだよ!」
「唇?」
ぎゅっと拳を握り、それを胸に強く押し当てて花楓が訴える。その目には涙が浮いている。
「武田に乱暴されて、は…初めては奪われたけど、唇だけは守ったんだよ! せめて…せめてファーストキスだけは好きな相手にもらってもらいたいって!」
一息に捲し立てた花楓の目から涙が一筋流れ落ちる。
花楓は昨夜、腕を顔に巻き付けるように隠していた。両手で顔を覆っていた。
それは泣き叫ぶ顔を見られなくなかったから。自分がされていることを、自分を襲う男を見たくなかったから。そう思っていた。
きっとそれも間違っていない。間違ってはいないけど、それだけじゃなかった。
花楓は守っていたんだ。初めてのキスを。
それだけは必死に。健気に。
そして最後まで守り通した。
握った拳が弱々しく俺に打ち付けられる。
「あんたにもらってもらいたかったから…」
「…うん」
その腕を掴み花楓を引き寄せる。細く小さな体を抱く。
俺の胸元で花楓が見上げる。
「小次郎、キスして…」