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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
 その後、服を元通り着た二人は、しばしおしゃべりをして過ごした。
 拓麻を家まで送っていこうと、紗友莉が玄関まで降りてきたちょうどそのとき―――。
 紗友莉の母が帰宅してきて、玄関で鉢合わせとなった。
 紗友莉の母も、紗友莉から事情を聞いており、拓麻の状況は把握している。
 挨拶を交わした後、紗友莉の母は拓麻に向かって言った。
「私に出来ることがあれば、何でも言ってね」
 拓麻は礼儀正しく頭を下げて「ありがとうございます」と返す。
 すると、紗友莉の母は申し訳なさそうな表情をして言った。
「拓麻君……今は覚えていないかもしれないけど……。小さい頃に、紗友莉がケガをさせちゃったときのこと、本当にごめんなさいね。紗友莉にも悪気はなかったと思うから、許してね」
「その話はさっき紗友莉……ちゃんから聞きました。俺は全然気にしてないんで、気にしないでください」
「ありがとう。記憶が早く戻りますように……」
 そう言う紗友莉の母に対して、拓麻は会釈をしてから、紗友莉と共に玄関から外へ出た。
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