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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
 望未は「いただきます」と小さく言って、お茶を一口飲んでから言った。
「拓麻さんは、ニューヨークで数年間を過ごされたそうですが、この街ではもっと長い年月を過ごされているはずです。渡米なさらずここにいらっしゃるほうが、記憶を取り戻すためには良いのではないかなと、僭越ながら思います。差し出がましく、不躾な物言いで申し訳ございません」
 快諾してもらえると高をくくっていたらしく、拓麻の父がやや焦った様子で言う。
「しかし……記憶を失ってからもうかれこれ3週間以上は経ったんですが、いまだに何の進展もないのですよ。このまま無為に過ごしても、状況は好転しそうにないと思いますんで……」
 望未は困惑の表情を浮かべ、口ごもる。
 そこへ拓麻の母が口を挟んだ。
「望未さんのお気持ちをお聞かせください。拓麻のこと、愛してくださっているんでしょう?」
「はい!」
 これには即答する望未。
 珍しく顔を真っ赤にしながら。
 すかさず、拓麻の母が言う。
「拓麻もきっとそのうち、望未さんのことを思い出すか、あるいは改めて愛し始めることになるはずです。そして、私たちは、拓麻のことを心底愛してくださる方に、拓麻と結婚していただきたいのです。望未さん、あなたのように」
 言葉が上手く出てこず、頬を紅潮させたまま望未は頷く。
 拓麻の意思をほとんど無視してこの話が進んでいることを、望未は薄々気づいていたので、後ろめたいような気持ちは確かに存在していた。
 それは間違いない。
 だが、拓麻の両親から懇願されると、拓麻への熱烈な愛情も相まって、望未には断ることはできなかった。
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