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第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩

　翌週金曜日の午後６時過ぎ、紗友莉たちの職場から近いところにある居酒屋前に、人待ち顔の綾子の姿があった。
　このあと６時半より、鳴澤部長と紗友莉、そして綾子の三人で飲み会をする予定なのだ。
　この飲み会は、表向きは「つい先日、無事終了した仕事上のプロジェクトの打ち上げ」という名目で行われる運びとなっていた。
　そのプロジェクトは小規模なものだったので、この三人だけでやり遂げたものだったのだ。
　しかし、飲み会を開催する真の理由は、「落ち込んでいる紗友莉を激励するため」というものだった。
　紗友莉がかなり落ち込んでいることは、誰の目にも明らかで、特に鳴澤部長と綾子は心配していたのだ。
　綾子は密かに、「きっと拓麻君という、その幼なじみの件で悩んでいるのだろう」と、紗友莉が落ち込んでいる理由すらはっきり予想していた。
　ともかく、飲み会開催の真の理由は紗友莉にだけは伏せており、二人で励ます計画なのだ。