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第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩

　会計を済ませて、綾子と共に店を後にした鳴澤は、明らかに酩酊状態に陥っている綾子を見て、家まで送っていくことにした。
　綾子はというと、立っているのもやっとという状態にまでなっており、今にも倒れかねないように見える。
「坂井さん、住所を教えてくれ。送っていくから」
　だが、綾子の耳にその言葉が届いたのかすら分からない。
　綾子は電信柱にもたれかかりながら、黙って頷くばかりだ。
　鳴澤はほとほと困り果ててしまった。
　職場にあるファイルを見れば、綾子の住所は分かるはずだが、現在確認できないのでどうしようもない。
　ただ、あるトラウマのおかげで、鳴澤はどうしても、「自分の家へ、こんな状態の綾子を連れ込む」のは気が引けた。
　何とかして、綾子の住所を知ろうと試みた鳴澤だったが、綾子はとうとう頷くことすらしなくなってしまう。
　力なく頭を下げ、大きくふらつく綾子を見て、鳴澤はようやく決心した。