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第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩

　翌朝、先に目を覚ました鳴澤は、ほんの一瞬だけではあるが、目をきょろきょろさせてうろたえた。
　真っ裸で寝ている自分の隣に、同じく裸の綾子が安らかな寝息を立てている状況を、寝起きにいきなり目の当たりにしたからだ。
　しかし、昨晩行為に及んだ際に、「我を忘れるほどには酔っておらず、衝動的に行ったわけではない」ということもあり、鳴澤はすぐに冷静さを取り戻す。
　鳴澤は心の中で、「起きてしまったことは仕方がない」「お互い配偶者も恋人もいないわけだし、倫理上は何の問題もないはず。ただし、自分たちが上司と部下である、というお互いの立場を除けば」などと、色々なことを考えていた。
　鳴澤にとって、今回の出来事はあくまでも、「一夜限りの出来事」であり、「そうでなくてはいけない」という強い思いを秘めているのだ。
　ベッドから降りて服を着ながら、鳴澤は内心「坂井さんが目覚めたら、すぐに謝らないと」と思っていた。