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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
 両手をバタバタして慌てる綾子とは対照的に、いつもどおりの落ち着いた表情で鳴澤が言った。
「昨日はごめん。酔ってぐったりしてしまった坂井さんの住所が分からないので、私のこの家へ来てもらうことになって。そもそも、あそこまで酔ってしまう前に、私が止めるべきだった。重ね重ねすまなかったね」
「ああ、いえ、そんな……謝るのはこちらのほうです! 酔いつぶれたのも自己責任ですし、それでこんな風にいっぱいご迷惑をかけちゃって……! 本当に申し訳ありません!」
 頭を下げる綾子に向かって、鳴澤は柔らかい表情で「大丈夫だよ」と言う。
 すると、綾子が頭を上げて言った。
「その……言いにくいんですが……。私、寝ている間にその……変なことをしたり言ったりしませんでした?」
 途端に鳴澤は言葉に詰まり、表情を曇らせる。
 しかし、嘘をついたりごまかしたりすることを嫌う鳴澤はすぐに答えた。
「もう坂井さんも気づいてると思うけど、ちょっと色々あってね」
 はっきり言いづらいので、そこまで言って綾子の目を見つめる鳴澤。
 綾子は苦笑しながら言った。
「や、やっぱり……! その……本当にすみません! どうお詫びしていいやら」
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