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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
「いえいえ、お詫びするのはこちらのほうだよ。歯止めがきかなかったこと、ホントにごめんね。さて、済んでしまったことは仕方ないから、もうこの話はやめておこう。ただ、その……もし妊娠の兆候でも見られたら、必ず言ってきてほしい。責任を取るから」
 唐突に飛び出した直接的表現に、一瞬だけ目を見開いて驚いた様子を見せた綾子だったが、すぐに恥ずかしそうな様子に変わった。
「あ、すみません……えっと、色々お気遣いありがとうございます。そうですね、部長の仰るとおり、この話はもうやめておきましょう」
 うんうんと頷いた後、鳴澤がドアを手で指し示しながら言う。
「さて、朝食の準備が出来たから、リビングへ来てくれるかな」
「うわっ、いいんですか? ただでさえ、もう散々ご迷惑をかけているのに……」
「坂井さんの分も用意してあるから、ぜひ来てくれたほうがありがたいよ」
 二人の声色も表情も、普段とほぼ変わらない感じに戻っている。
 二人は連れ立って、朝食をとるためにリビングへと向かった。
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