この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
記憶の彼方に眠る恋
第2章 過去の恋、現在の憧れ

もっとも、紗友莉と綾子の趣味の一つが、鳴澤部長のと同じく「映画鑑賞」だから―――という理由も大きいだろうと、紗友莉は薄々気づいてはいたが。
なぜこれほどまで、「鳴澤部長にどう思われているか」を紗友莉が気にかけるのかというと、答えは単純で、紗友莉が鳴澤部長に対して淡い憧れを抱いていたからだ。
紗友莉には、鳴澤に対するその気持ちが、恋なのかどうかは分からない。
賢人に対してかつて抱いていた気持ちと似ているかどうか、ということも全く見当もつかなかった。
ただただ、「鳴澤部長と一緒にいると、『上司と一緒にいる』という気詰まりさは一切なく、すごく落ち着く」ということは、紗友莉ははっきりと自覚している。
そしてまた、「鳴澤部長が、私のような普通の女に対し、特別な感情を抱いてくださるはずはない。可愛くて優しい綾子に対してならまだしも」ということも。
紗友莉は現在着用中のそのシュシュを何度も何度も指で触れながら呟いた。
「明日も仕事、頑張ろう」
なぜこれほどまで、「鳴澤部長にどう思われているか」を紗友莉が気にかけるのかというと、答えは単純で、紗友莉が鳴澤部長に対して淡い憧れを抱いていたからだ。
紗友莉には、鳴澤に対するその気持ちが、恋なのかどうかは分からない。
賢人に対してかつて抱いていた気持ちと似ているかどうか、ということも全く見当もつかなかった。
ただただ、「鳴澤部長と一緒にいると、『上司と一緒にいる』という気詰まりさは一切なく、すごく落ち着く」ということは、紗友莉ははっきりと自覚している。
そしてまた、「鳴澤部長が、私のような普通の女に対し、特別な感情を抱いてくださるはずはない。可愛くて優しい綾子に対してならまだしも」ということも。
紗友莉は現在着用中のそのシュシュを何度も何度も指で触れながら呟いた。
「明日も仕事、頑張ろう」

