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第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩

　一方、綾子のほうはというと―――。
　鳴澤部長と寝てしまった一件を思うと、特に紗友莉に対しては申し訳ない気持ちと、後ろめたさを感じていた。
　前々から、紗友莉も鳴澤への思慕を、綾子に対しては隠していなかったので、今回の件はまるで「綾子が紗友莉を出し抜いて、鳴澤部長と関係を持った」ともいえる状況だったからだ。
　そんなつもりなど微塵もなかった綾子ではあるが、結果的にそう受け取られても仕方ない出来事が実際に起きているので、強い罪悪感を感じる綾子。
　ただ、綾子は内心「拓麻君っていう人と再会してから、紗友莉の気持ちは鳴澤部長から拓麻君のほうへと移っているみたい」と思っていたので、その後ろめたさはほんの少しだけ軽減されていた。
　もっとも、紗友莉自身の口からそう聞いたわけではなく、あくまでも綾子の勝手な想像に過ぎないので、後ろめたさが完全に消えることはなかったが。