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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
 場所は移って、拓麻の実家では―――。
 リビングにて拓麻が両親とくつろいでいた折、父親が突然真面目な表情で言った。
「紗友莉ちゃんとはなるべく、もう会わないようにな。あの子と会って、またお前がケガしたり、苦しんだりすることになっては本当に困る。大体、あの子は小さい頃に一度、お前をケガさせたことがあるんだぞ。今のお前は覚えていないだろうけどな」
 拓麻の表情が険しいものに一変したが、何も言ってこないので、父親はさらに言葉を継いだ。
「一度そうしてお前をケガさせておきながら、同じ過ちを今回また繰り返すなんて、本当に腹が立つな」
 ここで拓麻の怒りが爆発した。
「俺を撥ねたあの運転手のオッサンを一番責めるべきなんじゃないか? 小さい頃のことをいつまでも持ち出すのは粘着質で嫌な感じだ。少なくとも、小さい頃のそのケガの痕跡は、今の俺の身体には一切残ってないんだろ。反面、あの交通事故のせいで、もし打ちどころが悪ければ俺は死んだり重傷を負ったりしていた可能性があるって医者が言ってたらしいじゃないか。横断歩道を青信号で渡っていたらしい俺に、非はないって話なんだろ。そして、その事故のせいでこうして記憶がなくなってしまって、俺は本当に苦しんでいる。小さなことでネチネチと紗友莉を責める暇があるなら、あのオッサンを責めてくれ。オッサンがいくら反省しようとも、信号無視をし、俺を殺しかけた事実は変わらない」
 興奮した様子で一気にまくし立てる拓麻。
 母親はしきりになだめながら、父親に向かって言った。
「紗友莉ちゃんにも悪気はなかったはずだし、あなたもほどほどにしてあげてね。それから拓麻、あまり興奮しないようにお願いね」
 少し冷静さを取り戻した様子で、父親が言う。
「ちょっと言い過ぎたな、悪かった。でも、出来る限り、紗友莉ちゃんとは会わないようにしてくれ。それだけは頼むぞ」
 拓麻は心の中で「そんな約束は絶対できない」と思いつつ、憮然とした表情で短く「分かった」とだけ言った。
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